中等部・フリースクールに関する
様々な情報をお伝えします。
“そこ”は本当に大丈夫?
「ここだったら、少しは元気に過ごせるかな?」 「ここだったら、何かを見つけられるかな?」
そんな気持ちで、誰もが学校以外の居場所を探すことと思います。FS(フリースクール)や通信制高校中等部を探す場合、何らかの理由で地域の小中学校に通えなくなってしまった方も多いですから、その想いもひとしおですよね。
しかしながら、先に結論から言いますと、「正直なところ、入ってみないとわからない。」のが事実です。言い方を変えれば、「説明会やHPなどで宣伝している内容と実態には乖離がある所があるので、注意が必要。」ということです。
私はこれまで、発達障害や不登校で悩んでいる多くの方々と接してきた仕事柄、様々なケースを見聞きしてきました。保護者様や生徒の方々の側から聞く実態だけでなく、施設の設立や運営に携わらせていただいたこともあります。
その中で、非常に驚いたのが、「発達障害や不登校、支援級に通っている生徒の方でも大丈夫!」などという宣伝文句でやっている施設の“無知さ”でした。
もちろん、施設側は、悪気があるわけではありません。知識がないために、ただ自分たちが良いと信じていることを一生懸命やっているのです。 しかしながら、そうした生徒を対象にするならば、絶対に知っておかなくてはならない、切実な問題がたくさんあります。
音に対する敏感さがある、人がたくさんいるところが苦手、目移りするものがあまりあると落ち着かない、長時間座っているのが辛い、アレルギーがある・・・ざっと挙げただけでも、正しい配慮と対処が必要なことがあるのですね。
こうしたことへの理解が全くなく、生徒たちの前でスタッフが携帯電話などで仕事の話を大声でしていたり、来客との話し声が生徒たちへ筒抜けだったり、大きな音を立てることに無神経な先生がいたり、たくさんの物であふれかえった部屋だったり・・・。
中でも最も心が痛んだのは、「狭い部屋に押し込み、市販のお菓子を子供に与えるだけ」のフリースクールでした。発達に特性がある子は特に、体を動かしながら感覚統合をしていくことも大切ですし、私は食べ物と子どもの発達障害や不登校などとの関係も生化学の観点から学んできたため、市販の砂糖や添加物・小麦や乳製品たっぷりのお菓子が与える大きな影響を知っているだけに、虐待にも近い対応に感じられてしまいました。
「本当に質の悪いところもあるが、そういうところの実態は入ってみないとわからない。」
これは本当に困ったことです。 では、どうしたらよいのでしょうか?
次回のコラムで、「こんなところをチェックしてみよう!」というポイントをお伝えしたいと思います。
ぜひご参考にしてみて下さいね。
FS・中等部選びのチェックポイント!
学校の説明会・相談会などで直接学校担当者に聞いてみると良いと思います。もしもそのFSまたは中等部に通っている生徒の保護者同士のネットワークがあれば、そこも合わせて活用してみるのもいいかもしれません。 当てはまるところがある方はぜひご参考にしてみて下さいね。
【発達特性についての理解度】
2.HSC(HSP)について正しく理解しているか?
3.音や光、温度に対して敏感な生徒のためにどこまで配慮できるか?
4.集中しやすい環境づくりのためにどこまで配慮できるか? (上記3に加え、疲れにくい椅子を用意したり、個別ブースまたは静かなスペース を設けたりすることなどは可能か?)
5.発達障害・起立性障害・不登校・精神疾患(うつ・自殺願望・強迫性障害など) の諸症状と食生活との関連を理解しているか? (簡単に判断できる1つの目安として、密接に関係があると言われている砂糖や 小麦・乳製品を使用した菓子や軽食類を、その施設でおやつや昼食として与 えているところは、理解度が低いと考えて良いでしょう。)
【学習フォローの程度】
6.一人の先生が同時に何人の生徒を見るのか?7.わからないところがあった時に、その場でわかるまで教えてもらうことはできる のか?あるいは、各教科専門の先生がいる時に聞く形になるのか?
8.どの程度のレベルの勉強まで対応してもらえるか? (小中学校で教わる基礎レベルまでなのか、ハイレベルな中学・高校入試対応も可能なのか?)
中学生は、中等部とフリースクールどちらを選んだらよい?
なぜなら、不登校が理由で中等部やフリースクールを選ぶお子さんたちは、
“いつから学校に行けなくなったのか”
“どのくらいの期間、行けていないのか”
がまちまちで、学年は同じであっても、やり直しをする学年がバラバラだからです。特に小学生も対象にしているフリースクールでは、勉強よりも、他者とコミュニケーションを取ることや、体を動かすことを重要視したプログラムになっているところが多く、自習をする時間を設けてわからないところがあったら教えてくれる、といったことはしてくれると思いますが、高校受験を視野に入れた勉強を丁寧に見てもらうというのは、なかなか難しいのではないかと思います。
そこで、どうしようかなと迷った場合の考え方として、私は次の3つの選択肢をご提案します。
1.ある程度基礎学力があり高校受験を視野に入れたい場合 個別指導対応可能な中等部またはフリースクールを選ぶ
不登校や発達障害に理解があり、経験豊富な指導者による個別指導が得られるところを強くおすすめします。学習塾が経営しているところも増えてきていますが、担当の講師がアルバイトであることも多いので、発達特性についてのしっかりとした理解があるかどうかを相談するようにしましょう。2.小学生時代からのやり直しが必要な場合 やり直し学習のコースがある中等部に所属し、基礎学力をつけ、そのまま附属の通信制高校へ進学。もちろん可能であれば高校受験にチャレンジも可。
小学生からのやり直しが必要な場合、高校進学時までに基礎学力を修得できない可能性もあります。そうした場合でも、附属の高校に進学できる中等部は安心です。3.とにかく家から出て通えるようになることが目標な場合 自然と触れ合う時間を多く持てるフリースクールを選ぶ
家から出ることが出来ても、中等部やフリースクールの教室内でずっと机に伏せたままの子もいます。体を支えきれるだけの体力も精神力もないので、勉強するほどの余力がありません。成長期に太陽の光を浴び、土に触れ、体を動かすことは、ホルモンバランスを整え、心と体を正常に保つためのとても大切なスイッチになります。逆に言えば、こうした基本的なところを整えずに勉強をさせようとしても、結果はついてきません。合わせて、コラム第1回目・2回目で記載した、食への理解があるところを選ぶことも重要です。以上、3つの選択肢をご紹介しましたが、同時に様々な悩みを併せ持っているケースではとても迷われると思います。しかしながら、受け入れ側も多様化・細分化してきており、どれも同時に叶えられるところというのは現実問題として難しいでしょう。「何を」「いつまでに」「どうしたいのか」といった、目的と優先順位を明確にすることで、合うところを見つけやすいと思います。下記ページのフローチャート「あなたはどっち?」もぜひ合わせて参考にしてみてくださいね。
夏休み中に通信制高校を選んでおこう!
夏休みが終わる頃には、
募集を締め切ってしまうところもある!
誰もが迷う、夏休み明けへの期待と不安
スポーツや音楽などに専念したい・行きたい大学の学部が明確に決まっていて、そのための受験勉強に時間を割きたい・在学中に思う存分働きながらお金を貯めたいなど、明確な目的がある場合は、早々に通信制高校を選択することに迷いはないでしょう。そうしたケースはここでは省きます。現在、通信制高校を視野に入れている方で最も多いケースが、不登校になってしまった場合です。不登校の期間はまちまちですが、本人も、そしてご家族も、「もしかしたら、中学3 年生の夏休み明けから、受験を目指して頑張れるようになるのではないか」という希望を持っています。そのために夏休みの段階で通信制高校入学を決めてしまうことをとても悩まれるのです。誰もが迷う、夏休み明けへの期待と不安
スポーツや音楽などに専念したい・行きたい大学の学部が明確に決まっていて、そのための受験勉強に時間を割きたい・在学中に思う存分働きながらお金を貯めたいなど、明確な目的がある場合は、早々に通信制高校を選択することに迷いはないでしょう。そうしたケースはここでは省きます。現在、通信制高校を視野に入れている方で最も多いケースが、不登校になってしまった場合です。不登校の期間はまちまちですが、本人も、そしてご家族も、「もしかしたら、中学3 年生の夏休み明けから、受験を目指して頑張れるようになるのではないか」という希望を持っています。そのために夏休みの段階で通信制高校入学を決めてしまうことをとても悩まれるのです。9月からの3~4カ月で受験に立ち向かうのは厳しい
しかしながら中学で学ぶ授業内容は、ほんの数回休んだだけでも、とたんにわからなくなりがちです。特に英語・数学は、日々の積み重ねがものをいう部分もあり、休んだ期間が数カ月以上に及ぶ場合は、そのブランクを埋めるのが大変になってきます。中学生の多くは部活動をしていることもあり、大半が夏休みから受験に向けて本腰を入れ始めるので、夏休み明けの9月以降は、同学年の生徒たちが急激に成績を伸ばしてきますから、ブランクを埋めるだけではなく、さらにそこから受験に向けての勉強をプラスしていく必要があります。これには相当な体力・精神力を使う覚悟が必要です。
もちろん目指す学校のレベルや、受験科目などによっても大きく変わってはきますが、私がこれまで教えてきた経験上、そうした努力なく安易に入れる高校を選択し、そこに入学できたとしても、そこでやりがいや心を許せる友だちを見つけることができずに、行かなくなってしまう子も多いのです。
通信制高校でも普通の高校生活を送ることは可能
早期に通信制高校に決定できない理由のうち、毎日通えないから友だちができない・学校生活を楽しめないという声をよく耳にします。また、全日制と比べて圧倒的に学力の差が出てしまうことは事実です。できることなら全日制へ・・・と思う気持ちもわかります。しかしながら、最近の通信制高校は、全日制が開校しているものや、規模の大きい学校もあるので、週5日コースや、クラブ活動があるところもあります。年々、様々な専門講座を設け工夫をこらしている通信制高校が増えてきており、一昔前のイメージとは随分様相が変わってきています。ちなみに、入学後であっても、通信制高校から全日制の高校あるいは別の通信制高校への転入が可能ですので、ぜひ、夏休みの早いうちに学校見学に行き、ここなら通ってもいいかなと思えるところと出会えたら、思い切って入学を決めてみてはいかがでしょうか。ぎりぎりまで中途半端なまま親子でストレスを重ねたあげく、結局通信制高校までもが行きたいところに行けなくなってしまった、という状態よりも、ずっと心も軽く、前向きに自分の人生を構築していけると私は思います。友だちってなんだろう?
いじめがなくても居場所がないこともある
友人関係での悩みというと、まず思い浮かぶのはいじめだと思います。しかしながら、一見、何の問題もないように見えていても、心の中には大きな葛藤や孤独感を抱えていることが少なくありません。小学生時代までは仲の良かったお友だちが、中学生になったとたん、人が変わったようになってしまうことはよくあることですし、本人に何の落ち度がなくても、特定の仲良しグループに入れずにいることもあります。一見、人気者に見えるような子でさえ、心の中では自分の居場所を感じられないことすら普通にあるのです。
また、大人になって考えれば、どうしてそんなささいなことで・・・と思うようなことで、深く傷ついたり、恥ずかしいと感じたりしてしまうのもこの頃です。逆に自分のあり方がわからず、周囲との距離感がわからなくて、無自覚に相手を傷つけてしまうこともあるでしょう。
中には、家庭環境が思わしくなく、学校の友達とはわかりあえないため心を開けないといったケースもあります。
いずれにしても、心から安心して過ごせる居場所が、そこにはない・・・学校がそういう場になってしまうことは普通にあるのです。
子どもは自分の意志で環境を変えられない
社会人であれば、もしその職場の人間関係が悪く、精神的に参ってしまうような場合、辞職したり転職したりすることを自らの意志で選ぶことができます。ですが、子どもの場合はそうはいきません。
学校を転校するということは、場合によっては引っ越しを伴いますし、親や兄弟姉妹もそこで生活の根を張っている場合などはとりわけ簡単にはいかないでしょう。
仮に引っ越しをせずに転校することを視野に入れた場合でも、学校という大きな組織の中に一人ぽつんと途中から入って いく勇気は大変なものですし、もしそこでまたなじめなかったら・・・という不安もまた大きいと思います。
FS・中等部の利用は居場所を見つける手がかり
FS・中等部は、現在の小中学校に在籍したままで通うことができます。合わなければ別のところを探せる自由度もあります。●過度な気遣いをしなくても済む場所
●ただいるだけでもいいのだという安心感を与えてくれる場所
を確保することが目的であり、そこで必ずしも友だちを作る必要はないのです。そうした観点からも、合う場所を探してみるとよいと思います。
学校は友だちを作る場だという幻想は捨ててよい
FS・中等部は、現在の小中学校に在籍したままで通うことができます。合わなければ別のところを探せる自由度もあります。そもそも学生時代の「友だち」の定義自体に無理があるのです。本来、「友」とは心を分かち合い、支えになる存在のはずです。しかしながら、同じクラス・同じ学年・同じ学校の生徒は皆、友だち扱いされてしまいます。
人生において、本当の友だちと出会えるチャンスはそう多くないですし、ずっと大人になってから出会えることだってあります。学生時代 、同じクラスに気の合う友だちがいる確率のほうがはるかに少ないにも関わらず、友だちとは何なのかを知る前に、周りの人は皆友だち、友だちとは仲良くしなくてはならないといった感覚を押し付けられてしまいます。そのため、その中で上手にふるまえない子たちは、苦しんでしまうのです。
同級生たちと無駄にトラブルを起こさないことは大切ですが、不必要に仲良くすることを求められる理由はないはずです。最近、飲食店などではお一人様席、いわゆる“ぼっち席 ”が普通になってきました。“気の合う友だちが見つからないので一人でいる”ということが、誰にとっても当たり前であるような“自由で安心できる雰囲気”が、もっと学校という場においても広がっていくと良いですね。
学校では、「気の合う友だちがもし見つけられたらそれはとてもラッキーなこと」くらいに捉え、本人は過度な期待をせず、周囲は無理な要求をしないといったスタンスが大切だと思います。
そして積極的に、学校以外でも自分の居場所を作っていくこと・・・それは習い事でもいいですし、趣味のサークルでもいいかもしれません。その中の選択肢の1つとして、FS や中等部があっても良いのです。
性格や能力は生まれつきのものではなく変えられる
自分は生まれつきこうだから…とほとんどの人は思うでしょう。今置かれていることだけでなく、人によっては未来のことについても、考えると不安や悲しい気持ちになったりすることだってあるかもしれません。 でも実はこうした性格や能力は、遺伝子によるものだけでなく、別のものからも大きい影響を受けていて、それは変えることができる、ということをご存知でしょうか?
毎日早起きできる人は頑張っているのではない
たとえば、毎日、朝5時頃から目が覚めて活動できる、早起きタイプの人っていますよね。それに対して、頑張っても早起きできない人もいます。 何となく早起きできる人がえらくて、早起きが苦手な人はだらしがない、といった風潮があるので、早起きができない自分を責めてしまいがちです。これを書いている私も、実は“ある秘密”を知るまではずっと早起きが苦手で、自分はダメな人間なのだと思っていました。 ところが、あることがきっかけで「メラトニン」というサプリメントを飲み始めてから、驚くほど楽に、自然に、毎朝元気に起きられるようになったのです。これは衝撃的なことでした。頑張らなくても勝手に早朝から目覚めてしまい、体の中から動こうとする元気が湧いてくるのです。同級生に早起きタイプの人がいて、ずっとすごいなぁと尊敬していたのですが、 「あれは、根性で頑張ってやっていたのではなかったんだ!」ということを知って本当に驚きました。 メラトニンというのは、眠るために必要なホルモンで有名ですが、これがしっかり分泌されると自然に夜眠くなり、眠っている間に細胞を修復してくれて、朝元気に目が自然と覚めるというスイッチが入ります。それが何らかの理由でうまく分泌されなくなると、夜眠れない・寝ても寝ても疲れが取れないという状態を招くのです。逆にこれをしっかり補充してあげれば、うそのように楽にリズムが整ってきます。
(注:日本ではメラトニンは、サプリメントとしては販売されていません。)
糖類を摂りすぎると、疲れやすくなり怒りっぽくなる
また、精製された糖(白米、小麦粉、砂糖など)を摂取しすぎると、常に体が戦闘状態になり、ちょっとしたことでイライラしやすくなったり、逆にウツっぽくなってしまったり、集中力が続かない・疲れやすくなるといった症状が出たりします。 今、食事は白米やパン・麺類など精製された糖類を非常に多くふくむ食材が主食に使われています。加えて、野菜や果物も甘みが強調されるように品種改良されたもの、ソース類にも糖類が使われているような状況です。さらにお菓子や飲料水にもたっぷりと糖類が使われており、知らず知らずのうちに、大量の糖を摂取し続けてしまう人が多いのです。 糖類を摂りすぎると、簡単にいえば、2つの良くないことが起こります。1つは、日々血糖値を下げようと体が頑張り続けた結果、メカニズムがおかしくなって常に興奮状態になってしまうこと、もう1つは、糖類をエサにする腸内細菌が増えてしまい、毒素を出すことです。その結果、些細なことでも怒りっぽくなったり、いつも体がだるいとか、疲れが取れないといった状態になったりしてしまうのです。これらを、たとえば主 食を玄米や、えんどう豆でできた麺など別のものに置き換える・お菓子をやめてナッツや豆類を食べる・飲料水は糖類の入っていない緑茶などにする…といったように摂取を控えるようにすることで、体も心も明らかに変化してきます。気持ちがおだやかに安定するようになり、疲れにくい体になってきます。
欲を満たす食生活ではなく体を機能させる食生活を
ほかにも、学習能力やアレルギーと脂質の関係、体質や運動能力と腸内細菌叢との関係など、たくさん関連していることがあるのですが、ここでお伝えしたいことは、「性格や能力は、生まれ持ったものでないので変えられる」 「自分のせいではないので、自分を責めなくてよい」 「頑張りが足りないからといった根性論で何とかできることではない」 ということを知ってほしいということです。そして1つ言えることは、食生活を変えることで、心と体が変わっていくことは確かだということです。ただし最低でも2~3カ月、本当に変わったなと思えるまでには2年くらいはかかると思って下さい。薬ではないので、全身の細胞が生まれ変わるのには時間がとてもかかるのです。若くて細胞の生まれ変わりが速い今の時期だからこそ、効果が出ます。そして、今この土台をしっかり作れるかどうかによって、将来が大きく変わってもきます。
次回のコラムでは、もう少し具体的に、何をどうしたらよいかについてお話したいと思います。
今まで知らなかった自分に出会えるかもしれない
今回はこのことについて、もう少し詳しくお伝えしたいと思います。 まずは腸内細菌との関りです。
実は腸内細菌が性格・体質・能力を司っていた?
■感情や性格形成に関与
例えば、同じ写真を見せても、ネガティブな感情を抱いたり・抱かなかったりする、という違いだったり、非社会的な行動が多くなる、うつの症状を抱くなどといった感情や性格形成に腸内細菌が関与している例が報告されています。■体重調節への影響
また、太ったヒトの腸内細菌を取り出し、マウスの腸へ移植すると、そのマウスは体脂肪が蓄積しやすくなって太り、痩せたヒトの腸内細菌をマウスの腸に移植した場合、マウスは太らずに体形が維持されたという結果が報告されています。■運動能力を左右
そればかりか、エリートアスリートの腸内細菌をマウスの腸内に移植すると、マウスのランニング能力は、顕著に向上することが報告されています。■神経発達症などとの関連
この他、苛立ち、多動、社会的引きこもり、常同行動、物事を忘れることができなくなる、単一の物体に固執する・相手を無視するといった症状と腸内細菌との関連もマウスを使った実験結果からわかってきています。「なんで自分はこんな風なんだろう?」
と思い悩むだろう多くのことが実は、あなた自身や遺伝の問題ではなく、 「腸内細菌との関係」 にあるかもしれないということは驚きですよね。腸内環境を変えるには?
実は、人間の腸に棲みつく腸内細菌の種類やバランスは、3歳頃までに決定されてしまうと言われています。したがって、今のところできることは、 「その日1日の良い腸内環境を作る」 といった気持ちで、毎日の食生活に気をつけていくことではないかと思います。 以下、腸内環境を整えるためにできることを具体的に列挙します。【砂糖やパン類・加工食品を避ける】
糖類、小麦製品や白米といった精製食品、ファストフード、出来合いの総菜、加工肉、ドレッシングやソース類などに含まれる糖類のせいで、カンジダ菌の異常増殖を招いている可能性があります。 カンジダ菌が腸内で増殖すると、 ・過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎などの腸の病気 ・偏食(無性に甘い物を欲しがるなど) ・花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー ・自閉症スペクトラム障害、ADHDなどの神経発達症 ・不安障害、強迫性障害、統合失調症、うつ病 ・頭痛、発熱、全身のだるさ ・思考力・やる気の低下 などを招きます。【安易な抗生物質使用を避ける】
抗生物質は決して病原菌だけを殺す都合の良い薬ではなく、ターゲットとする感染源となる細菌だけでなく、腸内細菌全般に対しても、甚大な悪影響を及ぼします。【食物繊維を意識して摂取する】
食物繊維は、私たちの体に不可欠な働きを持つ短鎖脂肪酸を産生してくれる腸内細菌のエサになります。逆に言えば、食物繊維を摂取することは、太りにくく・疲れにくく・炎症やアレルギーを起こしにくい健康な体を保つこととほぼイコールであるともいえます。 食物繊維を多く摂取するには、玄米やキノコ類、野菜、海藻類、豆類などといった「穀菜食」がおすすめです。【乳酸菌だけを妄信しない】
名前から乳酸菌源であると考えられがちな乳製品ですが、本来は異なります。また乳製品にはヒトが分解できないタンパク質や糖、不自然なホルモン類なども含まれており、アレルギーやがん、体内のミネラルバランスを崩すと言った数々の不調の大きな要因にもなります。 生野菜や漬物・味噌などといった日本古来の発酵食品から摂取するようにしましょう。クリスマスや年末年始の食事は特に乱れがちなので要注意
お菓子やケーキ、フライドチキンやピザなどで盛り上がるクリスマスや年末年始は、実は腸内環境にとっては全くお勧めできないものばかりだなんてショックだと思います。ですが、日本古来のおせち料理は大変おすすめです。ぜひこの機会に、食べるということをご家族で見直してみて下さいね。次回は、「理解力・記憶力・やる気といった脳の働きと油の関係」についてお伝えします。
【参考文献】
N. Sudo et al. Postnatal microbial colonization programs the hypothalamic-pituitary-adrenal system for stress response in mice. J Physiol. 2004, 558, 263‒275.
須藤信行.腸内細菌とストレス応答・行動特性.Brain and Nerve. 2016, 68, 595‒605.
健康な女性の腸内微生物プロファイルに関連した脳の構造と感情的刺激に対する反応Psychosomatic medicine 2017Oct01 Vol. 79 issue(8)
Jonathan Scheiman, et al: Nat Med. 25(7):1104-1109, 2019
食べる油の質で頭の良さや精神力が変わる?
脂質の質= 体の質
私たちの体は、細胞の集まりでできていることはご存知だと思います。その細胞の中で最も大切なのは細胞膜だということをご存知ですか? 細胞は核を傷つけられても生きていられますが、細胞膜を傷つけられると死んでしまいます。 そして、脂質は、細胞膜の材料なのです。大切な細胞膜の材料になる脂質は、私たちが食べた油からできています。そのため、食べた脂質の種類によって細胞膜の質が左右されてしまうのです。これが最も大切なポイントです。簡単に言うと、やわらかくて物質をやりとりしやすい細胞膜になるか、固くて物質をやりとりしにくい細胞膜になるか、は、食べものに含まれる油の種類によって決まってしまうということなのです。
子どもの学習能力や健康に与える影響が大きい
これは脳の細胞においてももちろん同じです。特に学習能力と関係が深い、脳内のニューロン( 神経細胞) 形成や、細胞間の神経伝達をスムーズにする部位( ミエリン鞘) の材料としても必須です。脳は水分を除くと約60% が脂質で構成されており、この材料となる良質な脂質が不足すると、当然ながら様々な不具合が生じるのです。実際に、マウスやラットを使った実験などでも、良質な脂質を摂取することで、ADHD や記憶力・学習能力の改善向上がみられたといった報告が相次いでいます。
そこで、本当なら細胞に良い油、つまりやわらかい細胞膜を作ってくれる油をたくさん摂取すればよいのですが、残念ながら、そうした油は酸化しやすく、加熱にも弱いので、生の状態で摂取する必要が出てきます。しかしながら、油を生の状態だけで毎日摂取するのは難しいですよね。そのため、私たちが日常的に摂取する油は、炎症を起こしやすい油に偏りがちです。なぜかというと、酸化しにくいので、保存するにも料理をするにも扱いやすいのです。
また、お肉の脂身やバター、マーガリンなど、常温で固まっている油も細胞膜にとっては全く好ましくありません。体内でも硬い構造になってしまうので、先述のように、物質のやりとりがしにくい細胞膜になってしまうのです。
ちなみに、炎症の促進と抑制いずれの作用にも脂質が関係していて、炎症を起こしやすい油ばかりに偏ると、アトピー性皮膚炎ほか様々なアレルギー疾患の大きな要因になります。これ以外にも、血管・内臓などもすべて細胞で出来ていますから、心と体の様々な不調と深く関係しているのです。
脂質だけに気をつければよいということでは決してありませんが、少なくとも脂質に気を付けることは、子どもの健やかな発達には絶対不可欠であることを肝に銘じることが必要です。
どんな脂質を摂取したら良いの?
では、どのような脂質を摂取したらよいのか、ということになると思いますが、「亜麻仁( アマニ) 油」は、子どもの発達に必要な油の条件を全て兼ね備えているのでおすすめです。サラダだけではなく、食べる直前であればおにぎりや味噌汁などにさっとかけて食べる方法などもおすすめです。 基本的には極力、油を使った加熱調理はしないに越したことがありませんが、どうしてもという時には加熱に強い良質なオリーブオイルを少量使い、加熱時間も短くなるような調理の工夫をしましょう。いずれも、農薬の心配のない・コールドプレス法( 低温圧搾法) ・遮光瓶入りのものを選ぶことが大切です。せっかく良い油を買ったつもりでも、製法や保管状態が悪いと、意味がありません。
このような工夫をしても、良質な脂質はなかなか十分な量を摂取するのが難しいと言われています。クリルオイルをサプリメントで摂取することをぜひ合わせてやってみて下さい。
(脳にとってDHA が極めて重要な脂質であることから、DHA を豊富に含む魚の摂取が推奨されてきましたが、近年は海洋汚染の問題から、食物連鎖によって魚に蓄積された水銀や他の有害物質が問題視されています。 「クリルオイル」はオキアミから採れる油です。オキアミはエビに似た小さな甲殻類で、食物連鎖の下位に位置しているため有害物質の蓄積量も少なく、DHA、およびEPA を吸収しやすい構造で多く含むほか、抗酸化物質なども含むなど優れた特徴があり、DHA の摂取源としておすすめです。)
以上、数回に渡り、子どもの心や能力と食べ物との関係についてお話してきました。子どもが笑顔で過ごせるように、あたたかく受け入れてくれる場所を提供するとともに、体の中からも元気になっていけるような取り組みを、子どもに関わる全ての大人たちがしていくことが大切だと思っています。
一人でも多くのお子さんが、元気に楽しい未来へ向かって歩んでくれていくことを心から願っています。
倉澤 けい (旧姓:小宮)
子どもの発達デザイン研究所
代表
2018年子どもの発達デザイン研究所を設立。
分子生物学をベースに薬を使用せず不登校・発達障害・適応障害・うつなどの症状を改善する多角的アドバイスにより、 対応した相談件数は5,000件超。
生きる力は伝える力という理念を元に、国語塾を同時開講、大変多くの感謝のお声をいただいている。
近年では、通信制高校の合同相談会開催や通信制高校での国語指導などでも協力をしている。